出版社の権利の確立を目的とし、複写その他出版に関わる著作権を日本で初めて総合的、集中的に管理する日本出版著作権協会(JPCA)へのご参加を

 私達は、2000年11月に施行を見た著作権等管理事業法に基づく著作権等管理事業者として、一般社団法人日本出版著作権協会(JPCA)の設立を準備しています。
すでに1991年に作られた複写権センターが、著作権等管理事業者として、業務をはじめております。にもかかわらず、私達がなぜ、日本出版著作権協会(JPCA)を設立するのでしょうか。

 著者(著作権者)の原稿は、私達出版社の発意と責任による出版活動を通して、出版物として全国に流通し、新たな読者に出会います。著者と読者を出版物という形態で仲立ちしているのが出版社です。
 その出版物は、本として流通するだけでなく、様々な利用が行われています。図書館での貸し出しや、コピーとして複写することもその利用の形態のひとつです。そればかりか、IT技術の革新は、今後新たな各種多様な利用の可能性を予見させます。

 複写権センターは、コピーに関する権利を集中的に処理する機関として作られました。 その複写権センターが複写使用料を徴収し配分しているのは、出版者著作権協議会(日本書籍出版協会、日本雑誌協会、自然科学書協会、出版梓会、日本図書教材協会、日本専門新聞協会、日本楽譜出版協会)に参加している出版社が委任を受けた著作物だけです。それ以外の出版社から出された著作物は、複写について、無権利の状態におかれ、その著作物の著者(著作権者)の権利は侵害されたままです。

 また、2005年には、貸与権についても、出版物の除外規定が解除される予定ですが、出版界が全体として関与できる体制を準備できるかどうかは、未だ不明です。

 出版界の先達が、出版に関わる様々な権利の保護と業界の発展に育成されてきたことは、紛れもない事実です。しかし、その成果が出版界全体、著者(著作権者)に行き渡っているとはいえない現状があります。ましてや、インターネットのますますの普及は、著者(著作権者)の著作物の主要な発表の場である出版社の存立を危うくさせかねません。 

 そもそも、出版社が極めて不安定な立場におかれている根本的な原因は、著作権制度の中で出版社の権利が確立されていないことに起因します。

 レコード製作者や、放送業者は、著作隣接権として伝達者の権利が保護されています。しかしながら、伝達者として一番歴史が古く、その発意と責任で著作物を世に届ける出版社には、著作隣接権が認められていません。すでに1990年、そのような状況を憂え、版面権を含めた出版者固有の権利を認めようと、著作権審議会第8小委員会は、「出版者の権利」を答申しました。経団連の反対があったとはいえ、著作権審議会の答申のうちこれだけが法制化されていません。

 私達、JPCA=日本出版著作権協会は、複写権センターの業務からはずされている、限りなく多数の著者(著作権者)、無数の出版社の委任を受けて、コピー料の徴収の受け皿になるだけでなく、「出版者の権利」の1日も早い法制化の実現を目指します。

 また、私達、JPCA=日本出版著作権協会は、「出版者の権利」がない現状を補う出版契約の雛型を、著作権専門家の協力を得て、提案したいと思っています。出版活動の第一歩は、出版契約です。私達の契約書は、出版者、著作者の共通の利益を追求するもので、それによってIT 時代の生き残りをはかるだけでなく、出版が著作物の発信基地でありつづけたいと願います。

 私達、JPCA=日本出版著作権協会は新しい契約書を軸に、著作権等を総合的に管理し、様々な著作物の複製(コピー、CDROM化、出版権仲介等)、貸与、公衆送信(電子書籍)などの権利の確保、その積極的利用と流通の拡大を図ります。  これらを実現するためには、一社でも多くの出版社のご加入と結集が絶対の条件です。 あらゆるジャンルの出版社のご加入を、強くお願いします。